「有り難い」って思うことが多いこの頃です
今日から大型連休に入りましたね。ぜひ、このお休みをゆっくりしっかり愉しんでくださいね。
ちょっと長文ですが、もしよろしければお読みください。横丁の靴やおさぴーの、とっても恥ずかしい話です。
お陰さまで、この頃とても愉しく充実した日々を過ごさせていただいています。
いろんなお客さまにお越しいただき、自分たちのできることで多少でもお役に立ち、笑顔になっていただいています。
横丁の靴やはこれまで、どちらかと云うと商品やフィッティングに変な自信があり、大変に失礼ながら上から目線(自分ではまったく思っていなかったのですが)で、どうして”こんなに素晴らしい靴なのに買われないいんだろう??”って思うお客さまがおられることに悩んでいました。
でも、それって違うんですね。
このところ次々に起こっているいろんな出来事の中で、考え方を変えることができるようになって来ました。
長野県の辰野町に出かけ、その中学校で「夢新聞」なる催しに参加させていただく機会がありました。
将来自分の想い描いた「夢」が叶ったものとして、それを新聞にして書くというものです。
今のこども達は将来に関して悲観的な考えをもっているようなことを見聞していますが、そんな中で自分の「夢」をもってそれに向かう愉しさを感じてもらう、と云うものです。
そして、今回の辰野中学校でのミッションは、「誰ひとり見捨てない」。全員で夢を書き終えて発表することが最大の眼目なのです。そのことをこども達に伝えて、あとは任せてじっと見守る、と云うものです。
最初はガヤガヤとしている教室です。
夢新聞協会の理事長でもあり講師でもある米澤さん。素晴らしい人です。
やがて一生懸命に書き出すと静かになる。少しずつ書き終えてほっとする子が出てくる。
さあ、そこからです。
クラスの中にはなかなか書けだせない子もいるし、書き出してもまったく進まない子供もいる。
段々時間が迫ってくると出来た子たちが助け出すんですね(それによって、自分も助けられるってことを学ぶわけですが)。
そんな中、ひとりまったく書けない子がいました。
はじめから少し様子が違っているように見えたのですが、そのお子さんは特別支援学級の生徒さんで普段はこのクラスの授業に参加することもままであることを、あとからお聞きしました。
どうなるんだろう、ってこちらはドキドキです。
担任の先生はおそらく胃がキリキリするような長い時間だったと思います。
締め切りの時間があと10分を切った時点でも、そのままの状態が続いていました。
ところが、あと数分というところでひとりの男子生徒がその子の前に立ち、アドバイスをし始めました。それでも動きが鈍いと思うと、もうひとりの男子を呼んでふたりで懸命にサポートしはじめたのです。
Kくんとすてきな仲間たち
やっと、その子がタイトルを書き始めたときに「終了」の合図がなりました。
とても残念!
でも、あちこちでそのような光景が見られ、ミッションは達成できなかったのですが、全員が助け合って誰ひとり見捨てない、と云う姿勢やエネルギーをしっかりと見せていただきました。
それだけでも、もう感動のようなものが押し寄せてきます(すみません。横丁の靴やの表現力不足で伝わらないかも知れませんが、ライブで見ているとホント熱いものがこみ上げてくるんですよ)。
それだけでも、とてもすてきなものを見させていただいたと思っていたのですが、その後です。自分的には「奇蹟」と思われることが起こりました。
全員が書き終えることは出来なかったのですが、それでも自分たちの想いや夢をほんの少しでも皆に発表しようとことになりました。
さっと自分の「果たせた夢」やこうなりたいという思いを発表していく子やもじもじしながらも仲間に促されてか細い声で伝える子も。みんな、発表してくれた子に大きな拍手を送ります。
そして、段々最後に近づいたとき、あの最後まで書けずに二人の友達に助けられてタイトルだけは書き終えた支援学級のKくんがすくっと立ち上がったのです。
何が起こったのか。
最初は「えっ」っと云う感じだったのですが、Kくんが自ら自分の夢を語り出したのです。ほんの少しの時間でしたが、みんな静かになり、発表したあとは万雷の拍手。
この時、横丁の靴やは不覚にも目から流れ出すものを止められなかったのです。今書いていても目がウルルしてきます。
言いようのない熱いものが体中を駆け巡っていく。そんな感じでした。
あとから、担任の先生が「あんな姿初めて見ました。私、今日の一時間だけで、ずっと彼らを信用できます。中学生の可能性を信じられます。」と語っておられました。
すてきな先生とクラスですね。
そんな素晴らしい体験の後、現実の商いの場でもそのようなウェーブを起こすための「指示ゼロ経営」というセミナーに臨んだのです。
そこでも自分の中の価値観の転換がありました。
その翌日には実際にその「指示ゼロ経営」を活かしておられる「共和堂新聞店」さんを見学させていただきました。縮小する新聞業界の中で、地域と連携して人の輪を活かし新たな道を進み始めている「共和堂新聞店」さん。ここでも大きな学びをいただきました。
そして、帰ってきて、おさだウイズ店のみんなとそのことを話し合い、これからお客さまにどのように接していったらいいのかを考えまくりました。
その中で出てきたこと。
当たり前のことなんです。
我々あきんどはお客さまの日々の愉しさや快適になることのお役に立つ、と云うことです。
それは、しっかり考えられてつくられたドイツのコンフォートシューズを売ることではなく、そのお客さまにとって、気持ちよくなれるものを一緒になって探すと云う当たり前のことに気がついたのです。
マスターシューフィッターとしての経験やスキルは使えるのですが、そこではないんですね。
いかに、目の前にいる、わざわざお越しいただいたお客さまが「あっ、この靴に出会えてよかった」と笑顔でお帰りいただけるようにするか! そこだって気がついたのです。
何のことはない。
おさだウイズ店の中でいちばん出来ていなかったのは、横丁の靴や私自身でした。
先日皆さま方に助けを求めた、当店青木の「シューフィッター資格取得のための足型計測のモデル依頼」には、びっくりするくらい多くのお客さま方がご協力くださいました。(まだ継続していますので、よろしければ、ぜひおみ足お貸しください)
足形計測の様子です
これについても、お友達の由紀子さんから「おさぴーだったらマスターシューフィッターだし、まだ購入するかどうか分からないのに、足測ってってなかなか言えないよ。青木さんなら協力してよい気持ちになれて、しかも自分のサイズが分かるのなら、そりゃ皆さんお見えになるよね」って素晴らしい分析とアドバイスをいただいたのです。
そうなんです。
横丁の靴やは思い違い、勘違いをしていました。
マスターシューフィッターとしての技術や経験は靴を売るためのものではなくって、お客さまが笑顔になるための靴選びのための基礎になるもにすぎないんだって。
そんなことを65才の今になって気付くなんて、ホントに大馬鹿者ですね。
ワクワク系マーケティング実践会で「社長のアカデミー賞 グランプリ」をいただいていても、いちばん分かっていなかったのは自分だったのですね。
人にフォーカスって言いながら、その神髄の部分は技術にフォーカスだったんですね。
お客さまの側に寄り添って、その声をお聴きする。そのいちばん根っこの部分は格好だけで出来ていなかったのは自分だって気がついたのです。
それからですね。
技術や経験を活かしながら、お客さまの側に立ってお客さまの身になって一緒に考え、いちばん最適な「解」を求めようとすると、とても温かい気の循環のようなものが巡っているのが感じられるようになりました。
本当に日々のお客さまとのお話や計測や靴選び、アドバイスがとてもスムーズにいき、且つ本当に愉しい時間になってきました。
やっと、なにか大事なものをつかんだように思っています。
この数日間、いろいろな方々やお友達、そしておさだウイズ店の大事なスタッフからのお話がストンと腹に落ち、自分の身になったように思います。
本当にあり得ないことが自分にも起こった気持ちです。
こんなに出来の悪い横丁の靴やだったら、存在を無くしてしまってもいいものを、天の神様は無の声で知らしめさせてくださったんですね。本当にありがたいことです。
こんな出来の悪い横丁の靴やにお付き合いいただいてきたスタッフ、お客さま、仲間やお友達。すべての方々にこころからの感謝だなぁて思います。
気付かせていただいて、本当にありがとうございます。
またこの先もひょっとして道を誤るようなことがありましたら、ぜひ叱咤激励ください。
よろしくよろしくお願い申しあげます。
※ 辰野中学校での出来事については詳しくここに書いてあります。よろしければ、こちらもぜひお読みなってみてください。
長文お読みいただき、こころから感謝です。ありがとうございます!