夫婦愛
2009.10.22
普段はあまりテレビを見ない横丁の靴やですが、たまたま食事時に点いていたものを見ました。
それは、女優の南田洋子さんが亡くなられ、夫の長門裕之さんがインタビューに応じていたものでした。
最初、「ああ、南田さんお亡くなりなったんだなあ」くらいに思いながら見ていたんですが、長門さんのお話に聞き入るようになりました。
まるで舞台のセリフなのかなと思うくらい、味があり染みいってくるものでした。
一言一言に長門さんのこころねの優しさが滲んでいました。
認知症になってしまわれた、奥様の南田さんが、舞台で疲れて睡りについた長門さんの部屋に夜遅くやってくる。
「おい、いい加減にしてくれよ」という声を投げたときに、「だって、洋子 あなたしかいなんだから」という応えが。。
認知症になってしまった妻の最後の意思表示だったそうです。
ハッとした、長門さん。
「そうだ、洋子には俺しかいないんだ」と気づき、覚悟を決め、それから、長門さんの献身的な介護が始まったそうです。
そうした人としてのやさしさ。
そういうものがあればこそ、明治座の大舞台でのお芝居が出来るんだと思った次第です。
舞台を務めながらの介護の生活。
どれだけ大変だったのかは、計り知れないものがあると思います。
でも、それをなし終え、公演も最後までやり終えてから、荼毘に付すとのことですが、「洋子は寒いのが大嫌いなので、告別式まで凍り付けにするのはとてもかわいそうですが、告別式に自分がいないのは考えられない」という言葉に、役者魂と優しい男の両面を見た気がしました。
仲よく連れ添ったご夫婦のむつまじさにじーんときた横丁の靴やでした。