手工業的な要素があるものには個体差が存在します
靴などの手工芸的生産品には個体差があります。その微調整も我々のお仕事です。
今日は久しぶりに名古屋へ出かけてきました。
横丁の靴や おさピーは結構アナログ人間でして、新しいお客さまへのサンクスレターなどは、一枚一枚自筆で書いています。
これは、私の大事な仕事とよろこびの一つと思っています。
そんなサンクスレターなどを書くときに愛用している万年筆。
ず~っと、亡き父の形見のものを使っています。
国産パイロットのカスタム品で使いやすく書きやすいのですが、少し太めで小さな字がつぶれてしまうことがありました。
で、もう少し細字のペン先のものを求めたのです。
MALZEN名古屋本店に探しに行きました。
いろんなものを試し書きさせていただき、求めたのはコチラ。
ペリカンの万年筆M600
ペリカン、スーベレーンM600。
国産をはじめ、モンブランほかいろんなメーカーのものを試させていただきました。
それで、一番しっくりしたのはペリカンのシリーズ。
ペン先が国産のものに比べて少し太めの欧州製。
ペン先と軸の太さでかなり迷いました。
ペン先は一番極細のEFを求めました
軸の太さはM800が一番かなと思ったのですが、ペン先がどうもほんのちょっとだけしっくりきませんでした。
買い求めたM600、この商品は相手をしてくださった販売員さん(かなりのベテランの方)がインクを付けてチェックしたときに、「あっ」と言ってルーペでペン先を確認したのです。
細字になればなるほど、かすかな引っかかり感が出るのですが、あまりになめらかだったので、思わず違う種類のペン先かと確かめたのです。
そんなに書き味が分かるほどの横丁の靴やではありませんが、たしかに他のものに比べて、気持ちよく書けるのです。
その販売員さん曰く「個体差ですねぇ~」と。
要するに「当たりのペン先」ってことでした。
その後も、M800にストックの違うペン先を付け替えていただき、試し書きをしましたが、やはり購入したものが一番でした。
と云うわけで、うれしい出愛をして横丁の靴やのところにお輿入れしたペリカンです。
それで、帰ってくるときにふっと思ったのが「個体差」です。
手工業的な要素があるので、職人さんによって皆違う書き味になるのでしょうね。
これは試し書きをすることによって、一番しっくりくる相性のよいものを探すことになるのですが、靴の場合はどうでしょうか。
やはり、多少の個体差はあると思います。
職人さんの力加減、経験値。
そのようなものによって本当に微妙な差は出ると思います。
また、履かれる方の感覚によっても「履き心地」は違ってきます。
その微妙な「差」をおさだウイズ店では、お訊きして、そして、感覚的に観て微調整をしています。
まあ、云ってみれば「ペンドクター」が毎回、その足に合わせて微調整しているようなものですね。
そんなことを考えたら、結構おさだウイズ店ってすごいじゃんと、微笑みながら帰ってきました。
これで明後日からのサンクスレター書きが、ますます愉しくなりそうです(*^_^*)